こんにちは。ラグジュアリー・ウォッチマン 運営者の「Yuto」です。
ここ最近、ロレックスの価格がものすごいことになっていますよね。昔買ったモデルが信じられない値段になっていたり、逆にこれから買おうとしても定価では買えなかったりと、その動向から目が離せません。特にロレックスの価格推移を20年という長期スパンで見ると、単なる値上がりだけでなく、経済や流行の面白い流れが見えてきます。2000年代初頭の「頑張れば買えた時代」から、現在の「資産としてのロレックス」に至るまで、市場は劇的に変化しました。高騰の理由や今後の展開が気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、デイトナやサブマリーナーといった人気モデルの具体的な動きも交えながら、ロレックス相場の歴史と未来について私なりの視点で分かりやすく解説していきます。
- 2000年代から現在までのロレックス相場の大きな流れが分かります
- デイトナやサブマリーナーなど主要モデルの20年間の価格変化を知れます
- なぜこれほどまでに価格が高騰したのか、その背景にある理由を理解できます
- 今後の相場予想や、売買のタイミングを見極めるヒントが得られます
ロレックス価格推移の20年をざっくり振り返る
まずは、過去20年間にわたるロレックス全体の相場の動きを見ていきましょう。2000年代の比較的穏やかだった時代から、激動の現代まで、価格はどう変化してきたのでしょうか。20年という月日は、ロレックスを「実用品」から「投資対象」へと変貌させるのに十分な時間でした。
2000年代から現在までの全体的な流れ

今でこそ「ロレックス=資産」というイメージが定着していますが、20年前の2005年頃はもっと牧歌的な時代でした。もちろん当時から高級時計の代名詞ではありましたが、スポーツモデルでも正規店に行けば普通にショーケースに並んでいましたし、中古市場ならサブマリーナーが30万円台で手に入ることも珍しくありませんでした。当時はまだ並行輸入品が定価より安く買える「逆転現象」が起きていたモデルも多く、並行店独自の保証書(ギャランティ)でも特に差別されることなく取引されていましたね。
しかし、この20年で状況は一変しました。特に人気モデルに関しては、定価の2倍、3倍といったプレミア価格(プレ値)が当たり前になっています。右肩上がりと言われるロレックス相場ですが、ずっと一本調子で上がり続けてきたわけではなく、いくつかの大きなターニングポイントを経て現在の価格帯に到達しています。
リーマンショックとアベノミクスの影響

相場の歴史を語る上で外せないのが、2008年のリーマンショックと、2013年頃からのアベノミクスです。
2008年のリーマンショック直後は、世界的な不況のあおりを受けてロレックスの相場も一時的に下落しました。多くの人が換金のために手持ちの時計を売却したため、市場に在庫が溢れ、価格が崩れたのです。この時期は間違いなく「買い時」だったと言えますが、当時は世界経済全体の先行きが見えず、ここまで回復・高騰すると予測できた人は少なかったかもしれません。
潮目が大きく変わったのは2013年頃、アベノミクスによる金融緩和が始まってからです。円安が進行したことで、輸入品であるロレックスの国内価格は上昇トレンドに入りました。1ドル70円台〜80円台だった為替が100円、120円へと円安に振れる中で、ロレックスの定価も段階的に引き上げられていきました。また、この頃から世界的に「時計投資」という概念が広まり始め、中国やアジア圏の富裕層による爆買いも相場を押し上げる大きな要因となりました。
近年の急激な高騰とその背景

そして記憶に新しいのが、2020年以降のパンデミック下での動きです。コロナ禍の初期(2020年春頃)こそ先行き不安から一時的に値を下げましたが、その後の回復は異常とも言えるスピードでした。
世界的な金融緩和でお金が余り、外出制限で消費先を失った資金が、株や仮想通貨、そしてロレックスのような「実物資産」に大量に流入しました。いわゆる「カネ余り」の状態です。特に暗号資産(仮想通貨)で財を成した新しい富裕層が、ステータスシンボルとしてデイトナなどを買い求めたことも影響しています。
2021年から2022年の初頭にかけては、まさにバブルの様相を呈し、一部のモデルでは「1週間で数十万円上がる」なんてこともありましたね。2022年春以降は一度ピークアウトして調整局面に入りましたが、それでも20年前とは比較にならない高い水準(高止まり)を維持しています。特に最近は、原材料費の高騰や人件費の上昇を受け、メーカーによる度重なる定価改定(値上げ)が行われており、これが中古相場の底値を強力に支えている印象です。
主要モデル別!20年間の価格推移と特徴
ここでは、ロレックスの中でも特に人気の高い「デイトナ」「サブマリーナー」「エクスプローラーI」に焦点を当てて、20年間の具体的な価格変化を見ていきましょう。それぞれのモデルが辿った軌跡を知ることで、ロレックス市場全体の特性が見えてきます。
デイトナ(Ref.116520 / 116500LN / 126500LN)
キング・オブ・ロレックスこと「デイトナ」。このモデルの動きこそが、ロレックス相場そのものを象徴していると言っても過言ではありません。常に定価を超え続けてきた唯一無二の存在です。
※以下はステンレスモデル(白文字盤)の実勢価格の目安です。横にスクロールしてご覧ください。
| 年代 | 型番 | 実勢価格目安 | 当時の状況 |
|---|---|---|---|
| 2005年頃 | Ref.116520 | 約90万〜110万円 | 定価+α程度で購入可能だった時代 |
| 2015年頃 | Ref.116520 | 約150万〜180万円 | ディスコン(廃盤)の噂で上昇開始 |
| 2022年(ピーク時) | Ref.116500LN | 約500万〜600万円 | 異常な過熱感、バブルの頂点 |
| 2025年現在 | Ref.126500LN | 約450万〜550万円 | 高値安定、新型への移行期 |
20年前のRef.116520時代から既にプレミア価格ではありましたが、それでも100万円前後で購入できました。当時は「いつかはデイトナ」という夢が、努力すれば叶う範囲にあったと言えます。しかし、2016年にセラミックベゼルを搭載したRef.116500LNが登場すると人気が爆発しました。
スタイリッシュな外観への進化により、一気に200万円台、300万円台へと駆け上がり、2022年のピーク時には600万円に迫る個体もありました。現在は最新のRef.126500LNに切り替わっていますが、依然として定価の2倍以上のプレミア価格で推移しています。
デイトナの豆知識 かつてRef.116520の時代は、引き締まった印象の「黒文字盤」の方が人気でした。しかし、Ref.116500LN以降は、黒いセラミックベゼルとのコントラストが美しい「白文字盤(パンダ文字盤)」の人気が圧倒的に高くなり、相場も白の方が数十万円高くなる傾向が定着しました。
サブマリーナー(Ref.16610 / 116610LN / 126610LN)

ダイバーズウォッチの金字塔、サブマリーナーデイトも驚きの進化を遂げています。ロレックスのエントリーモデルとして、多くの人が最初に手にする時計でしたが、今や高嶺の花となりつつあります。
2005年頃のRef.16610は、定価が約50万円前後。中古市場では30万円台後半から探すことができ、サラリーマンが「ボーナスで買える高級時計」の代表格でした。私自身、「あの時無理してでも買っておけばよかった」と悔やむモデルの一つです。
その後、2010年にモデルチェンジしたRef.116610LNで、ベゼルがセラミックになり、ブレスレットの堅牢性が増すなど質感が大幅に向上しました。これにより「実用時計」から「高級装飾品」としての側面が強まり、徐々に価格が上昇。現在のRef.126610LNに至っては、定価自体が100万円を大きく超え、実勢価格は200万円前後で推移しています。「いつか買おう」と思っているうちに、どんどん手が届かない存在になってしまった典型例ですね。
エクスプローラーI(Ref.114270 / 214270 / 124270)

シンプルイズベストを体現するエクスプローラーI。こちらは他のスポーツモデルに比べると、比較的穏やかな動きを見せていましたが、それでも確実に底上げされています。
2005年頃(Ref.114270)は、中古で30万円を切ることも珍しくありませんでした。36mmというサイズ感は日本人の腕に馴染みやすく、初めてのロレックスとして選ばれることも多かったモデルです。その後、ケースサイズを39mmにアップさせたRef.214270が登場し、賛否両論を呼びながらも人気を博しました。
現在は原点回帰の36mmサイズであるRef.124270が現行モデルとなっています。現在の実勢価格は130万円〜150万円前後。デイトナのような派手な乱高下は少ないものの、20年前と比較すれば3〜4倍の価値になっています。どんな服装にも合う万能性と、流行に左右されないデザインから、「安定資産」としての側面が強いモデルと言えるかもしれません。
なぜロレックスはここまで値上がりしたのか
「たかが時計になぜ数百万?」と不思議に思う方もいるでしょう。ここまでの価格高騰には、明確な理由がいくつか重なっています。これらは単なるブームではなく、構造的な要因が大きいです。
需要と供給のバランス崩壊

最大の理由はシンプルに「欲しい人に対して、商品が圧倒的に足りていない」からです。ロレックスは品質維持のために大量生産を行いません。厳格な品質管理基準(Superlative Chronometer)を満たすためには、製造数を急激に増やすことができないのです。
一方で、世界的な経済成長やSNSでの拡散により、ロレックスを求める層は爆発的に増えました。Instagramなどでセレブが着用している姿を見て、「自分も欲しい」と思う人が世界中で同時多発的に発生しています。
正規店での購入難易度 今や正規店に行っても、人気モデルが店頭に並んでいることはほぼありません。「ロレックスマラソン」という言葉が生まれたように、店舗に何度も通い詰め、店員さんとの信頼関係を築いて初めて購入できる権利を得られるかどうか、という極めて困難な状況になっています。
為替相場の影響(円安)と海外需要
私たち日本人にとって無視できないのが為替の影響です。ロレックスはスイスからの輸入品なので、円安になればなるほど国内定価は上がります。定価が上がれば、それに連動して中古市場や並行輸入の価格も底上げされます。
20年前は1ドル100円〜110円程度でしたが、近年は150円に迫る円安水準が続いています。この為替差だけでも、価格が1.5倍近くになる計算です。ロレックスの高騰は、日本円の価値が下がっていることの裏返しとも言えるのです。
さらに、日本の定価設定が海外に比べて割安になるタイミングでは、海外のバイヤーが日本国内の在庫を買い漁る動きも見られます。実際、スイス時計協会FHのデータを見ても、主要国への輸出が落ち込む中でも日本市場への輸出額は増加傾向にあり、日本市場での需要がいかに底堅いかが分かります(出典:スイス時計協会FH)。
資産価値としての注目度アップ

「ロレックスは買った値段より高く売れる」という事実が広まりすぎたことも、高騰に拍車をかけました。時計好きだけでなく、投資目的の人や転売目的の人が市場に参入してきたのです。
「身につけられる資産」としての信頼感は、他のブランドにはないロレックス独自の強みです。車は買った瞬間から価値が下がりますが、ロレックスは逆です。この「換金性の高さ(リセールバリュー)」がさらなる需要を呼び、相場を押し上げ続けるサイクルが出来上がっています。
今後のロレックス相場はどうなる?
では、これから先、ロレックスの価格はどうなっていくのでしょうか。未来のことは誰にも分かりませんが、現在の状況からいくつかのシナリオが考えられます。
定価改定と実勢価格の関係
ロレックスは原材料費の高騰や為替変動を理由に、定期的に定価改定(値上げ)を行っています。例えば、年明けの1月1日や9月頃に改定されることが多いですね。定価が上がれば、中古相場が大きく崩れる可能性は低くなります。なぜなら、中古相場は定価を基準の一つとして形成されるからです。
今後も世界的なインフレ傾向が続く限り、メーカーによる定価アップは続くと予想されます。それはつまり、長い目で見れば相場のベースラインは切り上がっていく可能性が高いということです。
売り時と買い時の見極め方

「今は買い時なのか?売り時なのか?」これは永遠のテーマですね。
買い時の考え方
- 欲しい時が買い時: 長期的には値上がり傾向にあるため、「安くなるのを待つ」よりも、買えるタイミングで手に入れて楽しむのが精神衛生的にも良いです。
- 定価改定前: 噂レベルでも値上げの話が出ると相場が動くので、早めの決断が吉です。
売り時の考え方
- 円安のタイミング: 海外バイヤーも日本の市場を見ているため、円安時は買取価格が高くなりやすいです。
- モデルチェンジの噂が出た時: 廃盤(ディスコン)になると予想されるモデルは、駆け込み需要で相場が上がることがあります。春の新作発表(Watches & Wonders)前は特に注目です。
ただ、投機的な目線になりすぎると、時計本来の楽しさを見失ってしまいます。毎日腕元を見てニヤニヤしたり、仕事を頑張るモチベーションにしたり。あくまで「気に入った時計を楽しんでいたら、結果的に資産価値もついてきた」くらいに考えるのが、一番幸せなロレックスとの付き合い方かなと私は思います。
※この記事の内容は執筆時点の相場情報に基づいています。数値は目安であり、将来の価格を保証するものではありません。最終的な売買の判断はご自身の責任で行ってください。
